“苅田（かりた）” の例文
広大な庭を持った白堊（はくあ）の洋館には、長年の痛風症に悩む老子爵と、十八になる孫娘の志津子、それに執事の苅田（かりた）平吉と三名の召使（めしつかい）が住んでいた。
海浜荘の殺人 (新字新仮名) ／ 山本周五郎(著)
と、うめいて、のけぞって、体が崩れて、そのまま、苅田（かりた）の畦（あぜ）の中に、溜り水を刎（は）ねかして倒れてゆく侍——
雪之丞変化 (新字新仮名) ／ 三上於菟吉(著)
柴車（しばぐるま）を挽（ひ）いて来るおばさんも、苅田（かりた）をかえして居る娘も、木綿着ながらキチンとした身装（みなり）をして、手甲（てっこう）かけて、足袋はいて、髪は奇麗（きれい）に撫（な）でつけて居る。労働が余所目（よそめ）に美しく見られる。
みみずのたはこと (新字新仮名) ／ 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
検屍の同心苅田（かりた）孫右衛門は、駆けつけざま、この混乱を睨（ね）め廻しました。
銭形平次捕物控：149 遺言状 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
苅田（かりた）壮平はなめらかに話した。それはちょうど、絵師が自分の得意な絵を描（か）くのに似ていた。
醜聞 (新字新仮名) ／ 山本周五郎(著)
檢屍の同心苅田（かりた）孫右衞門は、驅けつけ樣、この混亂を睨め廻しました。
銭形平次捕物控：149 遺言状 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)