花川戸はなかはど)” の例文
第三に見える浅草はつつましい下町したまちの一部である。花川戸はなかはど山谷さんや駒形こまかた蔵前くらまへ——そのほか何処どこでも差支さしつかへない。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
播磨 むゝ、白柄組の一人と知つて喧嘩を売るからは、さてはおのれは花川戸はなかはどの幡隨院長兵衞が手下の者か。
番町皿屋敷 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
金のはいるのは昔から曉天ぎやうてんの星のやうで、花川戸はなかはどの長兵衞をはじめさうした人たちは、人間としても一人物であり條理もわかりさうだが、そのほか、野晒悟助のざらしごすけのやうに
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
吾妻橋あづまばしの手前東橋亭とうけうていとよぶ寄席のかどから花川戸はなかはどの路地に這入はいれば、こゝは芸人や芝居者また遊芸の師匠なぞの多い処から何となく猿若町さるわかまちの新道の昔もかくやと推量せられる。
路地 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)