花崗石かこうせき)” の例文
それで諸君が東京のうし御前ごぜってごらんなさると立派な花崗石かこうせきで伊藤博文さんが書いた「天下之糸平」という碑が建っております。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
吾妻橋、厩橋うまやばし、両国橋の間、香油のような青い水が、大きな橋台の花崗石かこうせきとれんがとをひたしてゆくうれしさは言うまでもない。
大川の水 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
数株の蒼松そうしょうは、桜樹に接して、その墓門を護し、一個の花崗石かこうせきの鳥居は、「王政一新之歳、大江孝允おおえたかよし」の字を刻して、とこしえに無韻むいん悼歌とうかを伝う。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ふたりの悪漢は膝に押さえつけられて、ちょうど花崗石かこうせき挽臼ひきうすの下になったようにうめき声を出した。
平静で謹厳で冷静で育ちもよくまたかつてうそを言ったことのない人——あえて女とは言うまい——であった。脆弱ぜいじゃくに見えるほど穏やかであったが、また花崗石かこうせきよりも堅固であった。