色即是空しきそくぜくう)” の例文
ところで、その空を『心経』はどう説明しているかというに、「色即是空しきそくぜくう」と、「空即是色くうそくぜしき」の二つの方面から、これを説いているのである。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「そうでない、胴を離れたお通の首を見てからじっと考えてみるがよいわさ。美貌きれいがなんじゃあ……美しい女子おなごも死ねば白骨……色即是空しきそくぜくうを目に見せて進ぜよう」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日頃の不節制のために最近めっきりせ細って来たせいか、いや、いや、単に「とし」のせいか、色即是空しきそくぜくう、酒もつまらぬ、小さい家を一軒買い、田舎いなかから女房子供を呼び寄せて
グッド・バイ (新字新仮名) / 太宰治(著)
色即是空しきそくぜくうといふことも、僕が井の哲博士の現象即實在論を駁した樣に、全くのナシングネス、くうでなければ、ただ觀念的程度にとどまつてゐる。えらいことも、玄妙なこともない。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
心も空に、吉原へ飛んで行く遊冶郎いうやらうの中に、たま/\諸行無常とか、色即是空しきそくぜくうとか言つた後生氣を出して、此乞食坊主の鐵鉢に、小錢を投り込んで行く人間も、まれにはあることでせう。
色即是空しきそくぜくう……南無阿彌陀佛。なむ阿彌陀佛。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
鳥部ノ山の阿弥陀堂あみだどうから、夕闇の鐘は諸行無常と告げわたっている。けれど、こうすさまじく生き過ぎている人間の耳には、色即是空しきそくぜくう梵音ぼんおんも、馬の耳に念仏というものである。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心も空に、吉原へ飛んで行く遊冶郎ゆうやろうの中に、たまたま諸行無常とか、色即是空しきそくぜくうとか言った後生気を出して、此乞食坊主の鉄鉢に、小銭を投り込んで行く人間も、まれにはあることでしょう。
色即是空しきそくぜくうか。」と甚太夫はひやかした。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
第三講 色即是空しきそくぜくう
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)