自身おのれ)” の例文
ほとばしる血をものともせず、傷口から片手さし入れて、はらわたムズと引きちぎるや、頼春の顔めがけて投げつけ、自身おのれは仆れて息絶えた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
れもまた少しく恐れて、くだんの鯀化、黒面などを呼びよせ、洞ちかく守護さしつつ、自身おのれ佻々かるがるしく他出そとでしたまはざりしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
家に帰るや、炉に火を盛にきてそのわきに紀州を坐らせ、戸棚よりぜん取り出だして自身おのれは食らわず紀州にのみたべさす。紀州は翁のいうがままに翁のものまで食いつくしぬ。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
思ったとたんにあたかも旋風、砂を巻くがごとき凄じさ、闇を突ん裂いて九十郎、自身おのれも切られろと切り込んで来た。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『一旦縁切った司僧や姫にいかなる危難降りかかろうが自身おのれの知ったことでない』と云い切ったほどの弾正太夫様も、今度ばかりはを折られ、幸い数馬は
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
自身おのれ勝っては居りながら、ジタジタと後へ引き、しばらく姿勢を保ったが、敵わぬと知ったか何たる卑怯! 街道を逸れて耕地の方へ主水へ背を向け走り出した。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「裏切りをし、※悔をし、浄罪の旅に出でながら、人を殺し、自身おのれも斬られ、後悔し、※悔をし、しかもその後も人を殺し、月日を経ましたものにござりまする」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「主水」と叫んで陣十郎が、自身おのれと後へ引っ返して来
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
自身おのれ死ぬ気で斬り込んだが
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)