膩汗あぶらあせ)” の例文
薄暗い石油ランプの光線なので、明智は気づかなんだけれど、道化面の厚い白粉を溶かして顔一面に膩汗あぶらあせの玉が浮んでいた。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
に彼は熱海の梅園にて膩汗あぶらあせしぼられし次手ついで悪さを思合せて、憂き目を重ねし宮が不幸を、不愍ふびんとも、いぢらしとも、今更に親心をいたむるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
袷の袖で狹い額に滲んだ膩汗あぶらあせを拭いた。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それが凡て真黒な肌に膩汗あぶらあせをにじませて、気違いの様に盲目滅法に廻転しているのだ。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
袷の袖で狭い額ににじんだ膩汗あぶらあせを拭いた。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)