膚浅ふせん)” の例文
旧字:膚淺
が、物の考へ方や感じ方の上で見れば、やはり何処どこか囚はれてゐる。(時代の影響と云ふ意味ではない。もつと膚浅ふせんな囚はれ方である。)
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
榛軒は先づ桂川桂嶼と所見を同じうして、晩出蘭学者の飜訳書に由つて彼邦医方の一隅を窺ひ、膚浅ふせん粗漏を免れざるをそしつた。しかし榛軒のことは此に止まらない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
……わたしにいわせれば、畢竟ひっきょうそれは「新しい浅草」の膚浅ふせんな「殉情主義」の発露に外ならない……
雷門以北 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
それかといってあまりにそういう方向にのみ走って、徒らに字句によって解釈し、その根柢に動いている生きものを掴まないというのも、膚浅ふせんな読書法といわなければならない。
読書 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)