腰衣こしぎぬ)” の例文
老母は縁へ出て来て、上の掻着かいぎの裾を、腰衣こしぎぬとともに短くくくりはじめた。夕方の寒さではあるし雪もある。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍女や家臣たちは、紙燭をよせて、近々とそれをのぞき合った。まだ土ふかく秘められていた植物の淡い春の青さが、人の目に見られるのを羞恥はにかむような形して、薄紅梅の腰衣こしぎぬにくるまれていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、あやしみながら、腰衣こしぎぬたすきがけのまま、何気なくそこへ出て来た。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)