腰縄こしなわ)” の例文
旧字:腰繩
はやきようにても女の足のおくれがちにて、途中は左右の腰縄こしなわに引きられつつ、かろうじて波止場はとばに到り、それより船に移し入れらる。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ひとりが腰縄こしなわをさぐるすきに、ふいに、忍剣の片足がどんと彼の脾腹ひばらをけとばした。アッと、うしろへたおれて、悶絶もんぜつしたのを見た、べつなさむらい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
林「おい金藏、この親爺も腰縄こしなわにしてくれえ、かくも玄関まで引いてくから……」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして、追分の名主のことについて、何がそんな評判を立てさせたか、名主ともあろうものが腰縄こしなわ手錠で松代藩まつしろはんの方へ送られたとはどうしたことか、そのいぶかしさを半蔵にたずねた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)