脾腹ひはら)” の例文
冬子も恩人の危険を見てはられぬ、這いながら一人いちにんの足に絡み付くと、𤢖は鉄のような爪先で強く蹴放けはなしたので、彼女かれ脾腹ひはらいためたのであろう、一旦は気を失って倒れた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
段々中二階の方へくから、孝助はいよ/\源次郎に違いなしとやりすごし、戸の隙間すきまから脇腹を狙って、物をも云わず、力に任せて繰出くりだす槍先はあやまたず、プツリッと脾腹ひはらへ掛けて突きとおす。