脳裡なうり)” の例文
旧字:腦裡
あの言葉は、忘れ去つてゐた古傷に、さはられたやうな痛さである。赤羽の工兵隊に召集されて、南京ナンキン攻略に行つた時の、あの憂欝いううつな戦争が、脳裡なうりをかすめた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
運命は君にとつて姿なき同伴者である。時には君の脳裡なうりに運命は巣くふ。或るときは君の心臓に宿る。
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
されど我脳裡なうりに一点の彼を憎むこゝろ今日までも残れりけり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)