肝胆相照かんたんあいて)” の例文
「江戸趣味だか、呉服屋趣味だか知らないが、それから僕は爺さんとおおい肝胆相照かんたんあいてらして、二週間の間面白く逗留とうりゅうして帰って来たよ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「有難いね。実はこゝはもう七八両月と借り切ってあるんだよ。東西期せずして肝胆相照かんたんあいてらしたのも妙さ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
右近と肝胆相照かんたんあいてらす間柄になり、喬之助の秘密にも関与して、一の力をすことになっているのだが——その晩は別に、そんな思惑おもわくがあって歩いていたわけではない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それにこの御隠居が、変り者で、老童が肝胆相照かんたんあいてらしてしまった。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私達七名の同級生はく折り合った。野崎君と赤羽君も懇親会の組打が最後だった。互角ごかくのことが分ったのか、再び腕力に訴えるようなことはなかった。時折険悪けんあくになっても、直ぐに又肝胆相照かんたんあいてらす。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
肝胆相照かんたんあいてらすと云うのは御互に第一義が活動するからだろう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)