肉慾にくよく)” の例文
わかときは二はない』としようしてあらゆる肉慾にくよくほしいまゝにせんとする青年男女せいねんだんぢよ自由じいう干渉かんせふるぞ。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あなたの肉体や肉慾にくよくを、何物よりも清らかなものに書くことができますように、ほんとにそう神様に祈っていますが、書きはじめると、どうしても、汚くしてしまう。
清き正しい心をもって飽くなき肉慾にくよくと戦うことです。少なくとも「今日の問題」は、所詮しょせん、霊と肉との争闘あらそいです。しかして、明日の課題は、霊によって肉を征服することです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
肉慾にくよく的な愛も永続する場合次第に浄化されて一層高次の愛に高まってゆくことができる。そこに愛というものの神秘がある。愛の道は上昇の道であり、そのことがヒューマニズムの観念と一致しやすい。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
ぼくはそれまであなたへの愛情に、肉慾にくよくを感じたことがなかった。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)