そば)” の例文
馭者がその背に鞭を当てると、二頭の驢馬は、その小さな耳をそばだゝせながら、いくらかくだり加減な真直な道を驀地に走つた。
アカシヤの花 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
耳目をそばだたして開演する事が出来ようとは、いかに熱望していたとはいえ、昨日までの田舎廻り、乞食芝居の座員には
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
不図のつそりの噂に火が飛べば、とろりとなりし眼を急に見張つて、ぐにやりとして居し肩をそばだて、冷たうなつた飲みかけの酒ををかしく唇まげながら吸ひ干し
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なほ見ゆ、遠山とほやまさきごとそばだつ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ふとのっそりの噂に火が飛べば、とろりとなりし眼を急に見張って、ぐにゃりとしていし肩をそばだて、冷とうなった飲みかけの酒をおかしく唇まげながら吸い干し
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
養蚕やうさんの手伝をして日当を稼ぐなど、それは村の人が一時眼をそばだてる程の勤勉なる労働者と為つた
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)