耳袋みみぶくろ)” の例文
いや、それを話す前に、かの江戸の名奉行根岸肥前守のかいた随筆「耳袋みみぶくろ」の一節を紹介したい。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と、ぼつぼつ、それについて、郷土の者のはなしを耳袋みみぶくろへ集めはじめた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兎の皮の耳袋みみぶくろをした顔も妙に生き生きとかがやいていた。
寒さ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
耳袋みみぶくろとりて物音近きかも
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
権之助はむしろこの男が、附近の地理や風俗にくわしいのを幸いに、後学のため耳袋みみぶくろを養っておこうとするらしく、歩きながらの道々を、なにかと訊ねたり探ってみたり、いつか相手になっている。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)