老婢ばあさん)” の例文
平常いつもと違って客はないし、階下した老婢ばあさん慈姑くわいを煮る香ばしい臭いをききながら、その夜くらい好い寝心地の夜はなかった。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
すると弟の柳沢のいた、あの関口の加藤の二階が先だってから明いていて、柳沢のところの老婢ばあさん
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そして私のいる加藤の家を出る時はろくろく挨拶あいさつもしなかったお宮が柳沢のところの老婢ばあさんむかってぺったり座って何様のお嬢さんかというように行儀よく挨拶をしていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
お宮は直ぐ後から来て、今晩はまだ早いから、何処か其処らの寄席よせにでも行きましょう、という。それは好かろうと、菊水の老婢ばあさんを連れて、薬師の宮松に呂清を聴きに行った。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)