)” の例文
頭上に高くざしていた久田の姥の右の手が、この時にわかに脇へ垂れた。一髪の間に突き出した槍! したたか鳩尾みぞおちを貫いた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
円陣の空がふさがった。屋根板が山のよう積み重ねられた。幾本かの手がそれを掴んだ。火の中へくべられた、パッと焔が立ち上った。数十本の手がざされた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それらを眼下に見おろして、大勢の部下に囲まれながら、白髪の貴人が立っている。部下達のざす燈火の光で、その風采が鮮かに見える。丸龍を刺繍した支那服を纒い、王冠を頭に戴いている。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)