習癖しゅうへき)” の例文
そは霊性の中に織り込まれたる綾であり、模様であり、両者を切り離すことは、到底不可能である。就中なかんずくおそるべきは習癖しゅうへきの惰力である。
長い間の習癖しゅうへきと云うものは恐ろしいものだ。私は立ち上ると、人差指で柱の真中辺を二三度強く突いて見た。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
昔から自分の気に入ったタイプの人物にしか関心しようとしない自分の習癖しゅうへき
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
日吉、藤吉郎のむかしから、たれも自分に注意していないまに、信長をめぐる幕将たちの性格や習癖しゅうへきまでを、つぶさに観察していたのが、今になってみれば、いかに大きく役立っていることか——だ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君は、僕に、なるべく悪い事を聞かすまい、弱味を見せまいとしているらしいが、そンな事は吹けば飛ぶような事だ。マア、とにかく困った習癖しゅうへきだと云っておこう。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
習癖しゅうへきは深く魂の中に喰い入りて、しばしば個性の主要部となるに至るもので、一たん肉感肉慾の誘惑にかかった魂は、終にその奴隷とならずんば止まぬ。彼は到底清純無垢の境地に安住し得ない。