羅甸語ラテンご)” の例文
「何だって? Quid aliud est mulier nisi amicitiæ inimica……こりゃ君羅甸語ラテンごじゃないか」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もう一人の花房は、一週間以前『はち』へ藤沢と一しょに来た黒のソフトで、英仏独伊の四箇国語しかこくごのほかにも、希臘語ギリシャご羅甸語ラテンごの心得があると云う、非凡な語学通で通っていた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
英語はもちろんの事、以太利語イタリーご羅甸語ラテンごもある。左り側に「我が望は基督キリストにあり」と刻されたのはパスリユという坊様ぼうさまの句だ。このパスリユは千五百三十七年に首をられた。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
在学三年の間は物にならざる羅甸語ラテンごに苦しめられ、物にならざる独逸語ドイツごに窮し、同じく物にならざる仏語ふつごさへ、うろ覚えに覚えて、肝心の専門の書は殆んど読むいとまもなきうちに
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あるいは敵の不意に出でて、ちょっと逃げ出す余裕を作るための方便か知らん。そうすると烏賊いかの墨を吐き、ベランメーの刺物ほりものを見せ、主人が羅甸語ラテンごを弄するたぐいと同じ綱目こうもくに入るべき事項となる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「黙っていろ。羅甸語ラテンごも読めない癖に」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)