纏絡てんらく)” の例文
「生の流転をはかなむ心持ちに纏絡てんらくする煩わしい感情から脱したい、乃至ないし時々それから避けて休みたい、ある土台を得たい」
享楽人 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
家の壁は葡萄ぶどう、薔薇の蔓にまとわれ、半身像を以て飾られ、まどけたには瓶を並べ、纏絡てんらく植物それより生え出でる。舞台の右方はこの壁にて仕切られるなり。
そこには人間の切なる情実の複雑な纏絡てんらくがあるだけに、ほとんどこれのみにて人をして厭世観を抱かしむるほどの悩みの種となるものである。しこうして私は実際に私の幸福と願いとを奪却せられた。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)