綾子あやこ)” の例文
懇親の間柄とて案内もなく客間に通って見ると綾子あやこと春子とがいるばかりであった。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
前面むかいの喫茶店は、貴婦人社会に腕達者の聞え高き深川子爵何某なにがし未亡人びぼうじん綾子あやこといえる女丈夫にてこの会の催主なり。三令嬢一夫人をしたがえて、都合五人の茶屋女、塗盆ぬりぼん片手に「ちょいと貴下あなた。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
不思議なことに、先代の赤耀館主人であった私の亡兄丈太郎の妻、つまり私にとってはあによめにあたる綾子あやこも、係累けいるいの少い一人娘だったのです。嫂にはめいに当る梅田百合子というのが唯一の親族でした。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
荻野をぎの綾子あやこの宵のうた
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)