維納ウインナ)” の例文
早々に伊太利イタリーを離れた私達は、北上して雪の瑞西スイツルに遊び、そこから墺太利オウスタリー維納ウインナに出て、あのへんを歩き廻ってチェッコ・スロヴキアへ這入り、プラアグに泊り
シュトラウスの〈維納ウインナの森の物語〉の浮きたつような軽快なワルツがひどく湿っぽくなっている。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
赤いモスコー、四角い伯林ベルリン、酔うがミュンヘン、歌うが維納ウインナ、躍る巴里パリーや居眠る倫敦ロンドン、海を渡れば自由の亜米利加アメリカ。女の市場がアノ紐育ニューヨークじゃ。桑港シスコ賭博ばくちよ。市俄古シカゴの酒よと。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
維納ウインナ新心理派に云わせると、それを徴候発作ジムプトム・ハンドルンゲンと云うのですが、目的のない無意識運動を続けている間は、最も意識下のものが現われ易い——ことばを換えて云えば、人に知らせたくない
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ホテル・ガリッツィヤは、維納ウインナ風の安手な金箔をいたるところにくっつけた古い建物だった。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「いや、その功労なら、シュニッツラーに帰してもらおう」法水はすこぶる芝居がかった身振をして、「不在証明アリバイ、採証、検出——もうそんなものは、維納ウインナ第四学派以後の捜査法では意味はない。 ...
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)