糟粕さうはく)” の例文
読めと云ふから読んで見ると、テエマが面白いのにも関らず、無暗に友染縮緬いうぜんちりめんのやうな台辞せりふが多くつて、どうも永井荷風氏や谷崎潤一郎氏の糟粕さうはくめてゐるやうな観があつた。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あながち人丸赤人の餘唾よだねぶるでも無くもとより貫之定家の糟粕さうはくをしやぶるでも無く自己の本ママ屹然として山嶽と高きを爭ひ日月と光を競ふ處實に畏るべく尊むべく覺えず膝を屈するの思ひ有之候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
古人の糟粕さうはくめないなどとは誰でも易々と放言し易い。が、彼等の仕事を見ると、(或は仕事を見てもかも知れない。)今更のやうに独創と云ふことの手軽に出来ないのを感じるのである。