粗鉱あらがね)” の例文
その肩から満身へみなぎって来た力——粗鉱あらがねのような若い生命の力は——決して、まりつぼたたずんだ志賀寺の上人のように、死を願って立っている姿ではない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また兀々ごつごつとした石の筋骨が、投げ上げられて、空という空を突き抜いている、そうして深秘な碧色の大空に、粗鉱あらがねを幅広に叩き出したような岩石の軌道が、まっしぐらに走っている。
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)