粉河こかわ)” の例文
奥の女どもは弟子をつけて、粉河こかわの身寄りへ落してやったので、家には、今、鼠と彼しか住んでいないわけである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
粉河寺こかわでらのある粉河こかわでは、よい団扇うちわを作ります、渋色をしたおとなしい形のものであります。片隅に押してある老舗しにせ「ひしや」の印に気附かれるでしょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「人がよく閑居の処を高野とか粉河こかわとか云うけれども、わしは暁のねざめの床程のことは無いと思う」
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、南北さかいの町民は、女子供や老人などは、みな根来ねごろ粉河こかわ槇尾まきおなどの由縁ゆかりのある田舎へ、逃がしてしまった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文覚は、まだ十九の頃に、若いもとどりを切って、大峰おおみね葛城かつらぎ粉河こかわ戸隠とがくし、羽黒、そしてまた那智なち千日籠せんにちごもりと、諸山の荒行を踏んできた、その昔の遠藤武者えんどうむしゃ盛遠が成れの果てであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)