箕輪田圃みのわたんぼ)” の例文
どてへあがると、うすら寒い風はいつしかいで、紫がかった箕輪田圃みのわたんぼの空に小さいたこの影が二つ三つかかっていた。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
竹格子たけごうしの裏窓を明けると箕輪田圃みのわたんぼから続いて小塚原こずかっぱらあかりが見える河岸店かしみせの二階に、種員は昨日きのう午過ひるすぎから長き日を短く暮すとこの内、引廻した屏風びょうぶのかげに明六あけむツならぬ暮の鐘。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
桜の散る頃に箕輪田圃みのわたんぼのあたりを歩いているような気分になった。私は嬉しかった、懐かしかった。疲れた身にも寝るのが惜いように思われたのはこの夜であった。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
よんどころなく引っ返して箕輪田圃みのわたんぼの方へ迷って行った。
夢のお七 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)