箏曲そうきょく)” の例文
音絵は当年十九歳で女学校を優等の成績で卒業し、女一通りの事は何くれとなくたしなんでいたが、わけても箏曲そうきょくを死ぬ程好いていた。
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
君もご承知の通り、大阪には、浄瑠璃じょうるりと、生田いくた流の箏曲そうきょくと、地唄じうたと、この三つの固有な音楽がある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
前回に書いた舞踊研究会の「空華くうげ」の時、松岡さんと、私の好みと、鈴木鼓村さんの箏曲そうきょくとがぴったりしたので、松岡さんが進んで会員となられたのだが、今度は、その松岡さんが随分お疳癪かんしゃく
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
今日でも箏曲そうきょく地唄じうたのことを「当道音楽」と称しているので、耳新しい言葉ではないが、その頃にあっては平曲、浄瑠璃、表白ひょうはく、その他の雑藝を以て生活していた盲人の組合、所謂いわゆる「座」であって
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ともあれ、箏曲そうきょくの劇壇への進出は、朱絃舎浜子を嚆矢こうしとする。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)