“端舟(ボート)” の例文
今しも人間を山盛りにして降りかけた端舟(ボート)が、操作を誤って片っ方の吊綱(ロープ)だけ弛(ゆる)めたために、逆釣(さかづ)りになってブラ下がった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今は血一滴も残りおらず、そのうえ羅針盤は砕かれ、船上にありし二個の端舟(ボート)も海中に呑み込まれ、船首の方に立ちたりし船長室も、そのままどこにか持ち行かれしものならん、影も形もなく
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
その吾々が仕事をしている二三間(げん)向うには、端舟(ボート)の釣綱(つりつな)が二本、中途から引っ切れたままブラ下がっていた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
左右の舷側に吊した四隻のカッター端舟(ボート)はセイゼイ廿人も乗れる位のもので在ったろうか。一艘(そう)毎に素早い船員が飛乗って、声を嗄(か)らして制止しているが耳に入れる者なんか一人も居ない。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)