窮窟きゅうくつ)” の例文
一主義のもとに窮窟きゅうくつに律し去る習慣を改めて、歴史的には矛盾するごとくに見傚されている主義でも構わないから、これを併立せしめて
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その時その場合で変化しても差支さしつかえないのみならず、変化するのが順当で、変化しなければ窮窟きゅうくつであると云う事だけはたしかのように思われます。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
筋がなければ文章にならんと云うのは窮窟きゅうくつに世の中を見過ぎた話しである。——今の写生文家がここまで極端な説を有しているかいないかは余といえども保証せぬ。
写生文 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
同時に胃嚢いぶくろが運動を停止して、雨に逢った鹿皮を天日てんぴし堅めたように腹の中が窮窟きゅうくつになる。犬がえればいと思う。吠えているうちはいやでも、厭な度合が分る。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まして西洋へ来て無弁舌なる英語でもって窮窟きゅうくつな交際をやるのはもっともきらいだ。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)