窮死きゅうし)” の例文
いつどこで窮死きゅうししてもなお幸福でありうる心を、師はすでに作り上げておられる。だから、外に途を求める必要がないのだ。
奈良原到翁はその極端な清廉潔白と、過激に近い直情径行が世にれられず、明治以後の現金主義な社会の生存競争場裡に忘却されて、窮死きゅうしした志士である。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
後五年、昭帝の始元しげん六年の夏、このまま人に知られず北方に窮死きゅうしすると思われた蘇武そぶが偶然にも漢に帰れることになった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
魯の昭公は上卿じょうけい季平子きへいしを討とうとしてかえって国をわれ、亡命七年にして他国で窮死きゅうしする。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)