空函あきばこ)” の例文
そこで彼は、思い切り勇気を出して、廊下に積んであった空函あきばこを戸口に重ねると、扉の上の廻転窓の中を透して、ソッと室内を窺ってみた。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
棟の高い納屋を広く持ち、空函あきばこをあつかう箱屋までがあって、早くから瓦斯ガスやアーク燈を、荷揚げ、荷おろしの広場に紫っぽく輝かしたりした。
その上にサッポロビールの空函あきばこが五つ六つ横倒しに並べられていた。それが子供達の机だった。私のペンの揺籃ようらんだった。
タッタ今上って行った十台ばかりの炭車トロッコの真中あたりの新しい空函あきばこの中に、低い天井の岩壁から反射する薄明りの中を、頭を打たない用心らしく、背中を丸くして突伏したまま揺られて行った。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
もしや博士がそれをもって外出したのではないかと一時失望をしたが、それでも方々を探しまわっているうちに、荷ときをした一つの大きな空函あきばこのうしろに、例の鞄がかくされているのを発見した。
地球を狙う者 (新字新仮名) / 海野十三(著)