穴八幡あなはちまん)” の例文
が自分は相変わらず火事は消えるものときめて、別に驚かなかった。驚いたのは自分の話しかけた相手が、激震の当時穴八幡あなはちまんにいたと話したことであった。
地異印象記 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
あの穴八幡あなはちまんの坂をのぼってずっと行くと、源兵衛村げんべえむらのほうへ通う分岐道わかれみちがあるだろう。あすこをもっと行くと諏訪すわの森の近くに越後様えちごさまという殿様のおやしきがあった。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
みあかしの高田たかたのかたにひかりまち穴八幡あなはちまんみずいなりかも
前へ行く須永は時々うしろを振り返って、穴八幡あなはちまんだの諏訪すわもりだのを千代子に教えた。車が暗いだらだら坂へ来た時、彼はまた小高い杉の木立の中にある細長い塔を千代子のためにゆびさした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)