稜角りょうかく)” の例文
しかもその石たるや小さいけれど鉱石みたいな稜角りょうかくと堅質を持っているので、あたり所が悪ければ死ぬ。あるいは骨もくだける。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鮮やかな空色と、血紅色と、黒色の稜角りょうかくを、花型に織り出した露西亜絨氈の一角に、泥足のままスックリと立ち上った。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ロマン種族中にあって古ゼルマン族の特長となり獅子族ししぞく鷲族わしぞくとを区別せしむるあの稜角りょうかくの皆無さをそなえていた。
それからまた、ちょっと見ると火打ち石のように見える堅緻けんちで灰白色で鋭い稜角りょうかくを示したのもあるが、この種のものであまり大きい破片は少なくもこのへんでは見当たらない。
小浅間 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
(詩は情緒のなかへ崩れちることではない、きびしい稜角りょうかくをよじのぼろうとする意志だ)
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
ところで、あの外輪四山のうちの紅蓮峰リム・ボー・チェの嶺ですね。あれは、東南からのぞめば角笛形をしているが、ちょっと、西へまわると隠れていた稜角りょうかくがでて、その形が円錐になりますね
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
寒さは強く、路上の雪は稜角りょうかくある氷片となりて、晴れたる日に映じ、きらきらと輝けり。車はクロステル街に曲がりて、家の入口にとどまりぬ。この時窓を開く音せしが、車よりは見えず。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その後にこわされた様々な構造は、突角稜角りょうかくとつ出角などをなしていたものである。