シグサ)” の例文
が、彼自身は、時として、彼のセリフ、彼のシグサに、菊五郎以外のものを感じたに違ひない。其は彼自身であつて、同時に彼の父であつた。
市村羽左衛門論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
謡曲の「百万」を見ると、狂女の背を榊で打つと、ものを言ひ出すシグサがある。其は一つの例である。榊と称する木にも、沢山の種類がある。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さう言へば、近頃をこつくシグサをする人は、宗十郎位しか見かけぬ様になつた。吾々の記憶では、以前は人によつては、をこつきの連続のやうな舞台を見せる人があつた。
戞々たり 車上の優人 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
父菊五郎自身、生世話と言ふより、やはり時代がゝるシグサが多かつたやうである。羽左衛門を見送つて後の彼は、一層さば/\して、父までも拘泥の外に置くやうになつた。
菊五郎の科学性 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)