祖母)” の例文
純一は国のお祖母あ様の腰が曲って耳の遠いのを思い出して、こんな巌乗がんじょうな年寄もあるものかと思いながら、一しょに這入って見た。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
フリイデリイケは咳をしながら、「お祖母あ様のお亡くなりになつたのは、あの黄いろい長椅子の上でございましたね」と云つた。
祭日 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
子はり返つて両手でお祖母あさんのえりに巻いてゐるきれを引つ張つてゐた。パシエンカは語を継いだ。
独身で小倉に来ているのを、東京にいるお祖母あさんがひどく案じて、手紙をよこす度によめの詮議をしている。
独身 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「お祖母あさん。恐ろしいお爺いさんが来て、お祖母あさんにお目に掛かりたいつて。」
まって二三日置きに国から来る、お祖母あ様の手紙が来た。食物しょくもつに気を附けろ、往来で電車や馬車や自動車にさわって怪我をするなというような事が書いてあった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
なぜと云うに、その sujetシュジェエ は国の亡くなったお祖母あさんが話して聞せた伝説であるからである。この伝説を書こうと云うことは、これまでにも度々企てた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)