ひそ)” の例文
新字:
そこに活々いき/\ひそやかに萠える感情は、彼の權力にもはゞまれず、彼の整然たる行軍の足下にも踏みひしがれることはないであらう。
死と云ふものが渠等をすべて呑み下し、一たび生れた兒をまた呑んでしまう鬼子母神の腹のやうに、ひそんでゐた死の影が段段と大きく脹れて來て、渠の心の闇と合した。
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
アレは、新田さん、貴男あなたひそかに作つて生徒に歌はせたのだと云ふ事ですが、眞實ほんとですか。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そしてひそかにこの表面に再び浮き上ることの出來ない底があつたならば、いまに自分は入ることがあらうと思ふのである。いま朝日は玻璃の窓を通してお葉の肩から胸に斜に影を投げた。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
ひそめる不思議ふしぎきかばやと
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
が、かういふ風に、自分自身の爲めに行動し、自分自身の指導によつて、何か困難に陷るやうな危險に走つてゐるのではあるまいか、といふひそかな恐れが、私の心を惱ました。