しかし、累の怨霊はその後も二度ばかり来てお菊を悩ましたので、弘経寺ぐきょうじ祐天上人ゆうてんしょうにん教化きょうげして成仏得脱じょうぶつとくだつさしたのであった。
累物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
島は記念かたみのふくさを愛蔵して、真志屋へ持って来た。そして祐天上人ゆうてんしょうにんから受けた名号みょうごうをそれにつつんでいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
弘経寺という寺は結城と飯沼との両処にあってともに浄土宗関東十八檀林だんりんに列せられている。飯沼の弘経寺は元禄げんろく十三年祐天上人ゆうてんしょうにんが住職の時かさね怨霊おんりょうを化脱させたというので世に知られている。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)