硬化こうか)” の例文
こう云われた堀尾一等卒は、全身の筋肉が硬化こうかしたように、直立不動の姿勢になった。幅の広い肩、大きな手、頬骨ほおぼねの高いあから顔。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
支配階級や政治の機構やイデオロギーがそれに適応できず、硬化こうか停滞ていたいおちいるとき、そこに政治的変革が必然となるというべきであろう。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
藩論はまた硬化こうかした。けれど家康は、平静であった。清洲でもそうだったように、かれは激すことを知らない人間みたいに見えた。すべてを自分の罪に帰して
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに、私ももう七十歳をこしてしまったことだし、生命に別条がないとしても、脳味噌のうみそ硬化こうかはさすがに争えないものがあるのだから、めったな約束やくそくはしない方がいいだろうと思うのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)