石窖いしぐら)” の例文
そうして、反絵が園を斜めに横切って、卑弥呼の石窖いしぐらを眺めて立った時、奴隷の蜥蜴とかげは一層曲りながら、石窖へ通る岩の上を歩いていった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
耶馬台やまと兵士つわものたちが彼らの宮へ帰ったとき、卑弥呼ひみこはひとり捕虜の宿舎にあてられる石窖いしぐらの中に入れられた。それは幸運な他国の旅人に与えられる耶馬台の国の習慣の一つであった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
その時、君長ひとこのかみ反耶はんやの命を受けた一人の使部しぶは厳かな容姿を真直ぐに前方へ向けながら、彼らの傍を通り抜けて石窖いしぐらの方へ下っていった。若者たちの幾らかは直ちに彼の後から従った。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)