矢矧川やはぎがわ)” の例文
「七宝寺のある山は、ここよりも高かったな。ちょうど麓には、矢矧川やはぎがわと同じように、吉野川が流れていた。……ただここには、千年杉がない」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武士さむらい部屋の面々も出て、戻らねば土塀越しにほうり出すぞと、おどしつけましたところ、もう一遍取り次いでくれ、十年前、矢矧川やはぎがわ(矢作川)でお目にかかった日吉ひよしといえば
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、矢矧川やはぎがわを舟で下り、大浜から半島の半田へ上がる。そして常滑とこなめからふたたび舟便で海をよぎり、蟹江川かにえがわさかのぼって、蜂須賀村まで帰ろうという道どりを取ったものである。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
流れる水のすがたにも似ている今の境遇を、矢矧川やはぎがわの柳の蔭に寄せて、くさとまかついで一夜を舟に過していたその男は、中村の家を出たきり、便りも知れなかった日吉であった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生胡瓜なまきゅうりを喰ったり、井戸水をのんだりしたため、また腹が渋り出して、黄昏たそがれ、この矢矧川やはぎがわほとり辿たどりつくと、その痛む腹をかかえたまま、舟の中に寝入ってしまったものであった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことに面目もござりませぬ。矢矧川やはぎがわの一戦を
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)