眼下ました)” の例文
二つ目の峠——という程でもなかったが——を登り切ると、泡浪立った広い入江の奥に位置する田子の宿が直ぐ眼下ましたに見えた。屋並の揃った、美しい宿場である。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
眼下ましたの線路を玩具のような客車が上りになっているこっちへ上ってくるのが見えた。疲れきったようなバシュバシュという音がきこえる。時々寒い朝の呼吸いきのような白い煙をまるくはきながら。
人を殺す犬 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)