真似手まねて)” の例文
が、堀君もかう云ふ作家たちの中にいつか誰も真似手まねてのない一人ひとりとなつて出ることは確かである。由来我々日本人は「早熟にして早老」などとあざけられ易い。
僕の友だち二三人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「僕も全く同感だ。どこからあの熱情が出てくるんだろう。ちょっと真似手まねてがない。——」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
誰も真似手まねてがないというので、わざとひねったお客様が買被かいかぶりをなさるのでございます。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この少年が博士になったとは、どう思ってみても梶にはうなずけないことだったが、笑顔にあらわれてかき消える瞬間の美しさは、その他の疑いなどどうでも良くなる、真似手まねてのない無邪気な笑顔だった。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)