眈々たんたん)” の例文
今では、徳川か、豊臣か、そのどっちかの色を持った武士が、互いにこの分水嶺にって、次の時代を、虎視眈々たんたんうかがっている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一八八九年の三月、アピア湾内には、米艦二隻英艦一隻が独艦三隻と対峙たいじし、市の背後の森林にはマターファの率いる叛軍が虎視眈々たんたんと機をうかがっていた。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
笑わないどころか、眈々たんたんとしてあたりをめ廻していた。
諸州十八ヵ国から集まってきた将軍同志の胸には味方とはいえ、おのおの虎視眈々たんたんたるものや、異心があったのは、是非もないことである。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しかも、貞盛にそそのかされて、御辺父子も、兵力を増大にし、弓馬の猛訓練をさせて、虎視眈々たんたんと、下総の境を窺っている者ではないか」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何進の催促を馬耳東風ばじとうふうに、豺狼さいろうの眼をかがやかしつつ、ひそかに、眈々たんたんと洛内の気配をうかがっているのであった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と虎視眈々たんたん、群臣にはかったが、賈詡かく
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)