相踵あひつ)” の例文
魚を偸んだと雉を捕へたとの二つの事が相踵あひついで起つたので、家人は猫が人語を解すると以為おもつた。是より猫は家人の畏れ憚る所となつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「若菜集」一度ひとたび出でて島崎氏の歌を模倣するもの幾多相踵あひついであらはれたが、いたづらに島崎氏の後塵を拜するに過ぎなかつたことは、「若菜集」の價値を事實に高めたものとも言へやう。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
主人市兵衞と番頭の清七は遠島になつた上相踵あひついで死に、内儀と娘のお茂は一度草加に隱れましたが母親が死んだ後のお茂は、お上の御目こぼしを幸ひ江戸に流れ込み、やくざ者の利八や
日本政記の校訂者が二人以上あつて、或は同時に、或は相踵あひついでこれに従事したと云ふことも、考へられぬことは無い。是が疑の二つである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
運之助は寛政八年に真野竹亭が易の「純粋精也」より取つて正粋まさたゞの名を献じた棕軒の嫡男である。正倫、正精、正粋の三人は相踵あひついで運之助と称した。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)