相不変あひかはらず)” の例文
旧字:相不變
志田君は、盃を下にも置かず、相不変あひかはらず愛嬌を振舞いて居たが、お酌に廻つて来た市子を捉へて私の前に座らせ、両手の盃を一つ私にして
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分は「よく寝てゐます」とぶつきらぼうな返事をして、泣顔を見られるのが嫌だつたから、匇々そうそう凩の往来へ出た。往来は相不変あひかはらず、砂煙が空へ舞ひ上つてゐた。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
信吾の不意につて以来、富江は長い手紙を三四度東京に送つた。が、葉書一本の返事すらない。そして富江は相不変あひかはらず何時でもはしやいでゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さうして又調子の高い管絃楽のつむじ風が、相不変あひかはらずその人間の海の上へ、用捨ようしやもなく鞭を加へてゐた。
舞踏会 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『これ。』と背中の児をゆすぶつて、相不変あひかはらずニタ/\と笑つてる。子守をするので学校に出られぬといふのだらう。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
が、相不変あひかはらず元気の好ささうな顔をして、余り困つてゐるらしい容子ようすもなかつた。その後で「君はどうした」と訊くから、「やつと『鼻』を半分ばかり書いた」と答へた。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
して見ると、自分は相不変あひかはらず正々堂々たるものである、俯仰して天地に恥づる処なき大丈夫である。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
成程なるほど猿の方は、かやうに間もなく、皆のものに可愛がられるやうになりましたが、肝腎かんじんの良秀はやはり誰にでも嫌はれて、相不変あひかはらず陰へまはつては、猿秀よばはりをされて居りました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『ハツハハ。相不変あひかはらず不減口へらずぐちはたく! 暑いところを能くやつて来ましたね。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)