直行ただゆき)” の例文
同く慇懃いんぎんに会釈はすれど、疑も無く反対の意を示せる金壺眼かなつぼまなこは光をたくましう女の横顔を瞥見べつけんせり。静にしたる貫一は発作パロキシマきたれる如き苦悩を感じつつ、身を起して直行ただゆきを迎ふれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
されどもさかしき畔柳は事の密なるを策の上としてみだりに利の為に誘はれず、始よりその藩士なる鰐淵直行ただゆきの一手に貸出すのみにて、他は皆彼の名義を用ゐて、直接の取引を為さざれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)