目潰めつぶ)” の例文
黒いものが、ばっと来て、目潰めつぶしを打ちますように、翼を拡げたと思いますと、その指環を、奥様の手からさらいまして、烏が飛びましたのでございます。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
松五郎が石を拾って目潰めつぶしをくれる、それを合図に、身内の若いのが、同じように目つぶしの雨を降らせる。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
秀麿が心からでなく、人に目潰めつぶしに何か投げ附けるように笑声をあびせ掛ける習癖を、自分も意識せずに、いつの間にか養成しているのを、奥さんは本能的に知っているのである。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そして白雪を掻きのけるや底に現われた小石や泥を二本の後脚の爪に挟んで一度にさっと夜空に飛び、爪に挟んだ泥や小石を武兵衛の真っ向へ打っ付けた。これぞ早速の目潰めつぶしである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
平次の顔へ、目潰めつぶしに叩きつけて、その場から逃出そうとした者があったのです。
黒いものが、ばつと来て、目潰めつぶしを打ちますやうに、翼を拡げたと思ひますと、其の指環を、奥様の手からさらひまして、烏が飛びましたのでございます。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
灰の目潰めつぶしの中に、ひるむガラッ八。平次はそのとき早くも裏口に廻って
その癖、熱海一という別嬪べっぴんでござりますが、から野鳥のどりでござりまして、よく御存じでいらっしゃらないで、悪く御串戯ごじょうだんをなさるお客様は、目潰めつぶしの羽ばたきをされてお怒りなさります。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正面から飛付いた一人は、半分食いかけの、昼飯の茶碗を目潰めつぶしに叩き付けられてのけ反りました。続く一人は、額で番茶の土瓶を打ち割り、後ろの一人は、一本背負でモンドリ打たせられます。
目潰めつぶしの灰の気さ。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)