盆燈籠ぼんどうろう)” の例文
新字:盆灯籠
庭は木の繁みで微暗ほのぐらく、池の水や植木の鉢などが月明りに光つてゐた。開放あけはなした座敷は暗かつたが、籐椅子とういすが取出されてあつたり、火の消えた盆燈籠ぼんどうろうが軒に下つてゐたりした。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
翌日もやはり雨が降ったり止んだりして蒸暑い。夕方に町に出てみると、どの家にも盆燈籠ぼんどうろうともしてある。中には二階を開け放して、数十の大燈籠を天井に隙間なく懸けている家がある。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
おびただしい数の盆燈籠ぼんどうろうを諸方から手向たむけられたのを家中の軒さきから廊下から室内へやのなかの天井へずっとかけつらねさせたという、豪華なことのすきな彼女が、練馬の新築の家では、夜になるとピンピン
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)