百本杭ひやつぽんぐひ)” の例文
僕は時々この橋を渡り、なみの荒い「百本杭ひやつぽんぐひ」やあしの茂つた中洲なかずを眺めたりした。中洲に茂つた芦は勿論、「百本杭」も今は残つてゐない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「死骸が百本杭ひやつぽんぐひで揚がつたんです。早く歸つて下さい」
僕等は両国橋りやうごくばしたもとを左へ切れ、大川おほかはに沿つて歩いて行つた。「百本杭ひやつぽんぐひ」のないことは前にも書いた通りである。しかし「伊達様だてさま」は残つてゐるかも知れない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)