白蛇はくだ)” の例文
抜いたのは同時だったが、虚心流きょしんりゅう捨身すてみの剣の前に、四人の供はたちまち地にって……身を捨ててこそ浮かぶもある喬之助の強刃ごうじん白蛇はくだのごとくおどって慶之助に追い迫った。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
意気地いきじも張も葉がくれのやみに、男を思うあわれさよ。鶴を折る手と、中指に、白金プラチナ白蛇はくだ輝く手と、合せた膝に、三筋五筋観世捻かんぜより、柳の糸に、もつれもつるる、鼓の緒にも染めてまし。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
のみならずそれと同時に、頭の上の松の枝が、烈しくざわざわ揺れたと思ふと、後の絶壁の頂からは、四斗樽程の白蛇はくだが一匹、炎のやうな舌を吐いて、見る見る近くへ下りて来るのです。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
のみならずそれと同時に、頭の上の松の枝が、はげしくざわざわ揺れたと思うと、うしろの絶壁の頂からは、四斗樽しとだる程の白蛇はくだが一匹、炎のような舌を吐いて、見る見る近くへ下りて来るのです。
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)